top of page
検索
  • サイト管理者

譲渡所得の基因

「基因」という表現が、税務では良く使われます。「譲渡所得の基因」「山林所得の基因」「不動産所得の基因」「退職所得の基因」などです。


譲渡所得の基因となる資産の譲渡

「譲渡所得の基因」となる資産の譲渡とは、土地、借地権、建物など不動産、株式、NFT、金地金、宝石、書画、骨董、配偶者居住権などの資産の譲渡を指します。


そのほか、法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡も、資産の譲渡とみなされ、「譲渡所得の基因」となる資産の譲渡となります。


「起因」と「基因」の違い

「基因」と似た言葉に「起因」があります。漢和辞典には「起因」とは、ものごとが現在の状態になったもと、起こり、「基因」とは、原因、ことの起こり、とあります。


多くの場合、「起因」と「基因」は、同義語として解説されており、報道記事も「起因」に統一されています。しかし、譲渡所得の場合は、「基因となる資産の譲渡」のように「基因」が使用されています。


省庁によっては異なる使用法

ところで、行政では「起因」と「基因」で異なる使われ方が見られます。


災害や傷病に関する記述では、法務省のサイトに、「東日本大震災等に起因する人権侵害」、厚労省のサイトには、「労災の業務起因性」など、「起因」が使われます。


一方、国税庁のサイトで災害や傷病に関する記述を見ると、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例で住宅の取得期限や居住開始期限の1年延長を認める「災害に基因するやむを得ない事情」や、「自己の身体の傷害に基因して支払を受ける非課税の高度障害保険金」など、「基因」が使われます。


同じ災害や疾病に関する取扱いでも、法務省や厚労省は「起因」、国税庁は「基因」。税金に関することは「基因」を使用すると思われます。


他にも、まだある使用法の違い

内閣府では、SNSで児童が受けた被害の報告書に「SNSに起因する」と表現しています。一方、国税庁では、詐欺行為であっても、その「収入の基因となった行為が適法であるかを問わずに課税する」と表現しており、課税する場合は、やはり「基因」になります。


報道記事の「起因」と税金に関する「基因」の使用の違いに注意していれば、まだまだ他にも発見があるかもしれません。

名称 税理士法人シグマパートナーズ (税理士法人番号:第3423号) 代表社員 堀内 太郎 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 所在地 東京事務所 〒101-0046 東京都千代田区神田多町2丁目2-22 千代田ビル8F TEL:03-3525-4378 FAX:03-3525-4379 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 山梨事務所 〒400-0867 山梨県甲府市青沼2丁目23-13 TEL:055-237-4504 FAX:055-237-0562 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 当サイトの情報は、一般的な参考情報の提供のみを目的に作成されております。 弊法人は、利用者が当サイトを利用したことにより被ったいかなる損害についても、 一切の責任を負いません。 具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に専門家にご相談ください。
閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

交際費から除外される接待飲食費の金額基準

令和6年度の交際費に係る改正 令和6年度税制改正により、交際費等の範囲から除外される接待飲食費の金額基準が1人当たり1万円以下(改正前5000円以下)に引き上げられました。物価高や経済活動の活性化の観点からの改正とのことから、従来のように事業年度単位での適用関係ではなく、税...

税法における中小法人、中小事業者、中小企業者

「中小法人」を検索すると 法人税法で「中小法人」という言葉を検索すると、欠損金の繰越の条文のところにだけ出てきます。所得の50%が繰越欠損金の損金算入限度との規定のところで、資本金1億円以下の普通法人等(「中小法人等」という)については損金算入制限がないとしています。...

貸倒引当金の設定と完全支配関係金銭債権

貸倒引当金設定可能法人と対象債権 法人税において、貸倒引当金の繰入額を損金算入できる普通法人は資本金が1億円以下と限定されています。さらに、資本金が5億円以上である大法人との間に完全支配関係がある法人及び大通算法人は除かれます。...

Comments


bottom of page