令和4年度精神障害労災請求件数過去最多
厚生労働省が公表した令和4年度「過労死等の労災補償状況」によれば仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について労災請求件数は2,683件で前年度比337件の増加、支給決定件数は710件で前年度比81件の増加となっています。
この数はいずれも統計開始から過去最多となっています。
多発している業種や年齢層は
業種別では医療・福祉が最多となっており、次いで製造業、卸売業・小売業が続いています。
年齢別では請求件数、支給決定件数とも40歳~49歳が最多となっています。ベテランではあるが責任も重くなり下にも上にも気を遣う年齢層といえるかもしれません。
労災になるほどの精神障害の原因とは
支給決定件数の出来事の類型別では「パワーハラスメント」が147件で最多となっています。その他「同僚等から暴行やひどい嫌がらせを受けた」「セクシュアルハラスメント」等ハラスメント関連の類型によるものが目立ち、ハラスメントに関する問題は影響が大きいことがわかります。
また、今後精神障害の労災認定基準については業務による付加評価表の見直しがされ、いわゆるカスタマーハラスメントも追加される予定です。
離職理由の潜在化もあるハラスメント
労災申請されることは問題ですが、そこまでいかなくとも離職してしまう場合もあります。ハラスメントによる離職は年間87万人(令和3年)いて、そのうち7割の人はハラスメントが離職理由であることを会社に伝えていないそうです。また、ハラスメントの中で会社が実際に対応を行ったのは17.6%しかないとのことです。
労働力不足が続く状況の中で会社が認知しない、または未対応のハラスメントが存在することは社会にとっても会社経営にとってもよいことはありません。
引き続き職場のハラスメント対策やメンタルヘルス対応については気を付けていきたいところです。
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