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米国から帰国した者の外国税額控除

米国に183日以上滞在して帰国した場合

新型コロナウィルスの変異株「オミクロン株」の世界的な感染拡大。令和3年末より政府の水際対策も強化されました。外国から帰国された方も関係者も大変ですね。

ここでは、次のような米国からの帰国者の所得税の事例を検討してみましょう。

・ 日本の法人の社員A(日本人)が年初に米国へ5月までの予定で派遣された。

・ 予定が長引き、11月まで米国に滞在して日本に帰国した。


米国の連邦個人所得税の取扱いは?

グリーンカードを有していない日本人は、次のSubstantial Presence Test(実質滞在テスト)を満たす場合、米国の税務上、米国居住者として取扱われます。

その年度の米国滞在日数が累計で31日以上であること。

​その年度の滞在日数、前年度の滞在日数の3分の1及び前々年度の滞在日数の6分の1の合計が183日以上であること。


Aさんは、①と②を満たすため、米国居住者とされ、その年分の課税所得についてIRS(内国歳入庁)に個人所得税申告(Form1040)を作成し、申告納税を行わなければなりません。申告期限は翌年4月15日ですが、最長10月15日まで延長できます。


日米租税条約(短期滞在者免税)は?

日米租税条約14条(給与所得)には、短期滞在者免税の規定があります。Aさんは、12カ月の期間を通じ滞在期間が183日を超えており、この規定は適用されません。


日本の所得税の取扱いは?

Aさんは派遣期間が予め1年未満とされており、出国時に日本居住者とする取扱いをしている場合には、変更する必要はありません。この場合、Aさんは、日本居住者として、全世界所得につき日本の所得税の申告義務を有することになります。


米国申告4月。外国税額控除はどうする?

この場合、米国と日本の所得税が二重に課税されてしまっているので、日本側で外国税額控除を適用できます。ただし、米国の申告期限が4月15日なので、日本の申告期限に間に合わないことも有り得ます。

実務では、当年分の所得税申告で明細書を添付し、翌年分に外国税額控除余裕額を繰越すやり方も考えられます。


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