確定申告で納め過ぎた税は還付されるが
所得税の申告手続きにおいて、例えば給与収入の年末調整で清算されていない各種控除を追加する場合に、還付申告をすることで所得税の還付を受けることができます。
この制度を悪用して、虚偽の内容を記した申告書を税務署に提出して、所得税の還付を不正に受ける事案が横行していると、ニュースサイトが報じています。
具体的な件数を国税庁が発表していて、それによると、不正還付申告として処理された件数は令和3事務年度で191件、追徴税額は本税で約1億6千万円、加算税は4,700万円に上っています。また、令和2事務年度と比べると、件数と追徴税額は増加傾向です。
仮装・隠蔽は追徴課税
報道によると、ある女性が代行業者から指南を受け業者が架空の源泉徴収税額を記載した還付申告書を提出し、4年間で300万円ほどの還付を請求。税務署が不審な点に気付いて還付はされず、調査の結果、仮装・隠蔽に当たるとして重加算税を含め約400万円を追徴課税されたとのことです。
給与の源泉徴収をした個人・会社は、税務署に法定調書(源泉徴収票)を提出していますから、ちょっと税務署が調べれば虚偽であると分かるものであり、「仮装・隠蔽」とも言えないような稚拙な手口です。
偽装した確定申告書を出した女性は、代行業者とは会うことなく、やりとりは無料通話アプリで行ったとのことです。最近社会を騒がせている、闇バイトの強盗事件に似た荒っぽさを連想します。
怪しい話には気をつけて!
税金まわりでよく言われるのは、「節税」と「脱税」の違いです。「節税」は優遇措置や有利選択等の制度を活用して、税金の額を減らすこと、「脱税」は仮装・隠蔽を行うことです。脱税にはペナルティーである加算税が課せられる他、詐欺罪など刑事上の責任追及が行われる可能性があります。
また、本人が脱税と思っていなかったとしても、今回の事例のようにそそのかされ、実際に申告書を出してしまえば、その本人も責めを負うことになります。源泉徴収の流れを知っていれば「すぐに不正が発覚するじゃないか」と思い当たるはず。税に携わる者としては残念でなりません。
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