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年休取得と企業の配慮

年次有給休暇の取得

年次有給休暇(以下「年休」)を労働者に与えることは、労働基準法(以下「労基法」)において、企業に課されている義務になっています(39条)。与え方としては、労働者本人が希望する日に与えることを原則とし、請求された日に年休を与えることが「事業の正常な運営を妨げると認められる場合」に限り、企業はその請求された日に与えることを拒否することができます(以下「時期変更権」39条但し書き)。ただし、いずれにしても労働者は、最終的に法律上認められた権利である日数分の年休を全て(100%)取得し、使えることになります。


しかし、厚生労働者の調査によると、2022年の1年間に労働者が使った年休の日数は、労働者1人平均10.9日で取得率は62.1%になっています。別の厚生労働省の調査で、労働者に対し「年休を取得するのにためらいを感じるか」質問したところ、40%以上が「感じる」と回答しています。


ためらいを感じる理由として「周囲に迷惑がかかると感じるから」51.2%、「休んだ後に多忙になるから」36.0%、「休むための仕事の調整が手間だから」27.2%、「職場の雰囲気で取得しづらいから」22.1%、などと続きます。このように見ると労働者が年休を取得することにためらいを感じるのは、仕事そのものや職場の雰囲気に原因があると言えます。だとするならば逆に、年休を取得しやすく改善するため、企業にできることは少なくないということもできます。



企業が講ずべき措置

政府は、2025年までに、年休の取得率を70%にすることを目標に掲げています。そのため「年次有給休暇を取得しやすい環境の整備」を企業に求めるため、ガイドラインを作成しています。


詳しい内容については省略しますが、ここで大切なことは、ガイドラインそのものに法的拘束力はないものの、労基法39条での、企業が労働者に年休を与える義務について、ガイドラインが示す種々の措置を講じたかどうかも重要な要素となる可能性が大きいとされている点です。人員不足の問題など、企業にとっては困難な課題も多いと考えられますが、可能な範囲での配慮は求められることになるでしょう。



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