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メンタル不調による解雇と裁判例

メンタルヘルス不調の現状と課題

厚生労働省の調査によると「仕事や職業生活に関する強いストレスのある労働者の割合」は、一貫して50%(2人に1人)を超えています。また「メンタル不調により休業又は退職をした労働者がいる事業所の割合」は令和3年度において10.1%(10社に1社)となっています。


このように、ストレスやメンタル不調を抱える従業員は、身近にいることも考えられます。とはいえ、この問題は個人のプライバシーにも関わる難しい問題です。


そこで今回は有名な最高裁判決でのポイントを参考にしながら、企業が採るべき対処方法を検討してみます。



〔うつ病・解雇〕事件

新規プロジェクトのリーダーに任命された従業員が、長時間労働やプレッシャーから、不眠症やうつ病を発症し、それは他者から見てもわかる状態でした。会社は、就業規則上の休職を命じましたが、休職期間が満了しても回復が見込めず、解雇処分を下しました。これを不服とした従業員は、「解雇の無効」及び「安全配慮義務違反による損害賠償」を求めました。


東京高裁は、「解雇の無効」と「請求額から2割減額した損害賠償」を認めました。しかし、最高裁では、「2割減額した損害賠償」の部分を破棄し、東京高裁に差し戻しました。


その判断のポイントは以下の通りです。


・東京高裁が損害賠償請求額を2割減額した理由は、「本人の持つ脆弱性(一般的な従業員と比較してメンタルが弱い傾向にある)」と「診断内容や通院歴の一部を会社に黙っていた」ことでした。


・これに対し、最高裁は、「使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っているところ、(中略)労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で、必要に応じて、その業務を軽減するなど、労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるというべきである」としました。


つまり、メンタル不調の早期発見には、本人が「何も言わない」又は「大丈夫です」と答えることを前提に、従業員とのコミュニケーションを通じて、「何か異常はないか」を常に観察する必要があるといえます。


判決内容は、会社にとって厳しいものですが、会社が採るべきスタンスを明示しているといえます。



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代表社員 堀内 太郎
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