あなたはインボイス発行事業者?
令和5年10月1日から、インボイス制度が始まります。インボイス制度の下では、請求書等の発行を受けることが困難な場合を除き、帳簿および請求書等の保存が仕入税額控除をするための要件となります。
受領者は受け取ったインボイス(適格請求書)が要件を満たしているかの確認が必要です。その中で、記載されている登録番号が間違っていないかを確認するため「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号を確認する作業が発生します。
本名や住所が知られてしまう?
今回のインボイス制度は、事業を営んでいる個人の方も対象ですが、令和4年9月ごろには、適格請求書発行事業者公表サイトで「個人の氏名や事務所住所がCSVファイル等にてダウンロード可能」という状態になっていました。この件を巡って本名ではなく芸名等を使っている人や、居所を事務所としている人から「公表したくない情報をインボイスのせいで出さなければならない」と反発がありました。
結果、全件ダウンロードは一時凍結され、再開後の個人事業主の方のデータは「登録番号」と「登録日・更新日」のみとなりましたが、登録番号を検索にかければ、氏名は出る状態です。なお、公表の申し出があった場合のみ、検索では所在地と屋号が表示されるようになります。
改善後の現状でも、取引先には本名が分かってしまいますから、どうしても本名を公にしたくない場合は、取引先と秘密保持契約を結ぶとか、インボイス事業者にならない選択をするとか、大がかりだったりコストがかかったりしてしまいます。
利便性とプライバシーの両立を
また、適格請求書発行事業者公表サイトで公表されているデータについては「商用利用可能」となっています。これは会計ソフト会社が自社のシステムでユーザーがインボイス番号の照会をできるような機能を実装するためという配慮ですが、住所や氏名が出ているデータを商用利用可とするのは、昨今の社会情勢に照らせば反発が多く出るのは当然ともいえます。
国税庁は税務行政のDXを掲げていますが、それがセキュリティーやプライバシーを置き去りにしたものでないことを願いたいものです。
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