労働契約法
労働契約法が2008年3月1日に施行され15年が経過しました。労働契約法は労働者と使用者(以下「会社」とします)が自主的な交渉をして、労働契約が合意により成立する合意の原則、その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、労働者の保護を図り、併せて労働者と会社との間における労働関係を安定させること等を主な目的としています。
民法との関係
労働契約法は、民法第3編(債権)第2章(契約)第8節(雇用)についての特別法になります。つまり、労働契約法と民法で異なる規定がある場合には、特別法である労働契約法の規定が優先されることになります。
例えば民法627条1項では、期間の定めのない雇用契約について、労働者に2週間前の予告期間をおいての解雇の自由を認めていますが、労働契約法16条では、会社が労働者を解雇する場合、解雇の理由が客観的に合理的な理由を欠き、また、その理由での解雇の処分が、社会通念上相当であると認められない(処分が重すぎる)場合には、その解雇は無効とするとしています。
従って、民法で認められる予告期間をおいての解雇も、労働契約法が優先することにより、無効となる場合があります。
労働契約とは
労働契約そのものの定義はありませんが、労働契約法6条から、労働者と会社それぞれに次の権利を有し、また義務が課せられると考えられます。 ・労働者の権利及び義務:賃金を受け取る権利と労働を提供する(働く)義務 ・会社の権利及び義務:労働の提供を受け取る(働いてもらう)権利と賃金を支払う義務
なお、ここでの労働者の義務(労働提供義務)についての考え方は重要です。義務の履行(債務の弁済)は民法で、「債務の弁済は債務の本旨に従ってなされなければならない」とされています。つまり、労働者は、会社との合意により成立した労働契約の内容(就業場所、労働時間、賃金など)で働かなければならないことになります。
さらにわかりやすく表現すれば、労働者は労働契約で決められた内容の範囲での会社の命令に従い働かなければならないとなります。
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